長期記憶というものがある。
住所や携帯番号、人の名前や地名等は、繰り返し覚えることによって長い記憶になる
時折、脳の均衡が崩れて、長期側に入っている記憶が、零れ落ちることがある。
以前、5〜6年使い続けている携帯番号を一時間くらい思い出せないことがあった。そのくせ、その前に使用していた番号ばかりが浮かんでくる。
最近あまり季節や月を意識していないので、3月の次を2月だと思ったり、冬が終わったのにまた冬が来ると思っていたりする。
この前小学生の頃に少しばかりお世話になった人と偶然会ったのだけど、まるで相手が嘘を吐いてるかのように、私の記憶には一切無い話をされた。
酷く久しぶりに級友に会った時、当時彼らのことを何と呼んでいたのか忘れてしまって名前を一度も呼ばずに別れたこともある。
脳の中には掃除のおばちゃんみたいなのが居て、長い間思い出されないでいる記憶は「こんなのもう使わないでしょ!」と捨てられてしまうのかもしれない。
それでもパソコンのゴミ箱みたいに二重になっていて、完全に捨てられてしまうわけではなくゴミステーションのようなところに溜められて、物凄く久しぶりに記憶を呼び起こす時には、やっぱりそのおばちゃんがゴミ箱を漁って、やれやれと思いながら探し出してくれているんだろう。
私も歳を取るし、おばちゃんも歳を取る。だから記憶の操作も徐々に出来なくなっていく。
居るかはわからないけれど、ありがとうおばちゃん。