二重生活

 

 

この間、『二重生活』という映画を観た。(これも二〜三ヶ月前のこと)

 

 

基になる物語があるらしいんだが、なんとも独創的なストーリーだった。


自分と全く関係のない人を尾行する。無差別で、理由のない、尾行をする。これがとても面白い。

 


これを観て以来、私の中には「誰かを尾行したい」という思いがひっそりと潜んでいる。本当にひっそりと。とは言っても犯罪的な意味ではなくて、そうでなくても犯罪的だけれど、そうして結局は実行し得ないことなんだろうけれど、ただ、尾行したい、という思いがこっそりと、胸の隅のほうに、座っている。

 


特定の感情を持たないというのが、非常に魅力的だ。好きが故に、憎いが故に、そういう理由でなくて、ただ、なんとなく、なんとなくと言っても尾行をするという明確な目的の下で、その為だけに、尾行をする。

 

 


こんなに尾行について思い考えた事が無いので、少しばかり恐ろしい。
いつか本当に誰かを尾行してしまうのではないかと、不安にも駆られる。捕まりたくない。

 

 

 

結局何もしないのだろうけど、良い感覚でゾッとした。