ないものねだり

 

 

夜はよい。


静かで落ち着く。
同じ静けさでも、昼間はなんだか騒々しい。


今日の気温は心地よい。
寒くもなく、涼しい訳でもなく、暖かいという程でもない。本当に心地よいというのは、条件や理由が無い時なのかもしれない。

 

 

時計の音は、落ち着くようで、落ち着かない。落ち着かないようで、落ち着く。無意識の中に入ってくる時は落ち着くし、意識をしてしまったら落ち着かない。

 


夜と友達になれたらよいなぁ。
今日あった出来事や、悩み相談や、他愛の無い話をしたい。黙って隣に座っていたい。夜は、私たちの知らないことを、沢山知っている。と思う。夜の知らないことを、教えてあげたい。

 

 


おそらく習慣なんだろうけれど、昔から夜型で、眠れない。昼間なら幾らでも眠れるのだけれど。
朝、睡眠時間が短くたって、どれほど早く起きたって、重労働をしたって、夜は全く眠くない。

 

人間は、本当に、二種類に分かれるんではないかとさえ思う。昼行性と、夜行性と。生活リズムの問題ではなくて、性質そのものの単位で。そうして私は、歴とした、夜行性になるのである。

 

 

人間って、「人間」という一括りにするのには無理があるんではないかな。「家具」みたいなもんで、テーブルとか棚とかベッドとかソファとか、みんな家具には違いないけど、機能や使い道は違うじゃん、みたいな、ねぇわかる?ちょっと私にはわからないけど


いずれ、人間も細分化されて、それこそ昼行性とか夜行性だとか、筋力型とか頭脳型とか(適当)、開放型とか閉鎖型とか、とにかく、よくわからないけどとにかく!そういったように、分類されていったらよいなぁ、ちっとは生活しやすくならないかなぁ

 

 

 

それでもって夜。夜はよい。
できればずっと、起きていたい。
今を生きる人間たるもの、昼に活動して夜に体を休めるのが習性とされているから、ちと生きにくいし、脱し得ないところが大きいけれど、たぶん、これはきっと、ないものねだりなんだろうなぁ。

 

夜が好きなのも、夜が静かで、誰もいないこの空間が好きで、一人占めしているような優越感が好きで、だから夜が好きなんだろう。だから、本格的に人間が夜行性になったら、きっと「昼はよい。落ち着く。」とか言ってるんだろうね。

 

 

この間、長生きしているおばあちゃんが、長生きの秘訣は「ねだらないこと」だと言っていた。と、近くで会話をしていた主婦が話していた。(全くの他人)不足を言ったらキリがないからね、なんだそう。


どうして、無いものばかり欲しがってしまうんだろうね。手に入れたものも、元は無いものだったのにね。結局それが欲しいんではなくて、無いものが欲しいだけなんだろうね。よくわからないけど、あるものを愛おしく大切に思えたらよいのにね。そうよ、沢山あるでねぇの。私の手の中にも。あゝ愛おしい。