タッタッタタッ

 

 

懐かしい、と思うところに戻るのは、なんだかよくない気がしてきた。

 

いいのだけど。

 

いつまでも過去に囚われてはいけない、というのとは別世界で、なんていうのかな、寿命が縮んでしまうような、時間を喰ってしまうような、そんな感覚で、よくない気がする。

 


久しぶりに会う人に変わったねと言われると、ホッとする。これも同じ意味で。良い意味で変わったのであれば、尚よい。

 

 

何も考えずに、手も足も動かさずに、目や口も動かさずに、血液や細胞の動きも止めて、ぼんやりすることだけにただ集中すると、時間を止められるような気がする。本当に針の動きを止めるという訳でなくて。

 


昔、一度だけ、時が止まった瞬間を見たことがある。その場にいたことがある。勘違いなんだろうけれど、確かにあの時は、時間と空間が、シン、と、止まっていた。

 

もしかしたらあの日、私は時空を移動してしまったのかもしれない。あの日の時間が止まる前の私と、今の私は、別の世界にいるのかもしれない。と考えるとワクワクするしハラハラする。

 

パラレルワールドというのは、本当にあるのだと思う。しかもひとつだけじゃない。だからたぶん、平行した空間に、私がもう何人も、居る。ホイッと向こうに行けないかしら。反復横跳びの流れで、タッタッタタッと、行けないかしら。