透視

 

 

小さい頃、透視に成功したことがある。

 

家の二階で、無くしてしまったおもちゃの指輪を探していたときのこと、

 

どうにも見つからなくって、どうしてそうしたのか、目を瞑って念じてみたの。

そうしたら線が何本か引かれただけの、粗い地図のような絵が真っ暗い中に浮かんできて、その中にひとつ、ピカッと光る場所があってね、目を瞑ったままその光の方へ歩いてみて、あぁここだと目を開けて、ちっとかがんで探してみたら、本当にそこにあったの。

 

嬉しくなっちゃって、ついでにもう一個無くしていた物に念じをかけてみたら、あらまぁまた地図が浮かんで一箇所光るのよ。そいでそこに向かって歩くと、やっぱりそこにあるの。

 

 

思えばあれが自我の芽生え。初めて自分を天才だと思った日。後にも先にもあの日きり。私の才能は一体どこへ逃げてしまったんだろう。

 

 


それから時は流れ大学生も初めの頃。
当時の先輩にポーカーだかペリーだかなんだか、そういうカードゲームを教えてもらったの。


4〜5人でやるのがいいらしいんだけど、裏返したトランプの中から各自一枚ずつカードを選んで、皆に見えるよう、自分の額の前でカードを持つの。(自分で自分のカードは見てはいけない)

 

そいで他のメンバーのカードを見ながら、心理ゲームのように相手の反応を伺いながら、何回かまでは自分のカードを選び直してよくてね、最終的に最も数字の小さい人がバツゲームやらなんやらを食らう、というゲーム。だった気がする。


そのゲームには「自分のカードを見てはいけない」以外の反則がないので(たぶん)、相手にでたらめの数を教えたりなんだりしてもよいのだけど、私はふと、「自分のカードの数を当てればいいんじゃん」と、エジソン並みの発明をし、透視をし始めたわけ、そうしたら暗い中にぼんやり数字が浮かんできてさ、一発で当てちゃったのよ!

 

 

まぁ、まぐれじゃん、まぐれだと思うじゃん。

 

でもさその後も二回透視してみたら、なんと二回続けて当たったの、ちゃんと柄まで、一度目は運良いくらいに思ってた先輩方もいつのまにかMr.マリックを見るかのような目で私を見てたよね。

 

 

これが人生二度目の、自我の芽生え。
泣きの天才リターンズ。

 

 

 

と、いうわけで、私には秘めたる力が宿っているのでは!と、それ以降何の能力も発揮していないがそう思うのである。

 

 

二度あることは三度ある、起こして見せようハプニング。

 

 

 

 

 

おわり