酔っぱらい

 

 

蒸発したい時がある。
逃げる、という意味でなくて、
アルコールのように、ただただ蒸発してしまいたい。


物凄く幸せな時に、物凄く申し訳ない気持ちが混ざった時に、私は蒸発して、空気に溶けてしまいたい。

 

嬉しさと後ろめたさが混ざる時、何もすることができないので、ただ一心に、時間が少しでもゆっくり動いてくれるよう、祈るしかない。

 

 

知らない田舎の駅で降りて、何をするでもなく座っていたい。

 

いつまでも黒い空と、虫の声と、時折人工的な音に囲まれて、あらゆる意識の外に放り出されて、じっと目を瞑っていたい。