東京ばなな

 

 

不倫をしている芸能人のくどくどとした弁解や、
商品のパッケージにある長ったらしい補足説明、
CMの「※これはあくまでイメージです」や、
非のない店側がお客にヘコヘコ頭を下げていること、

 

こんなに居心地の悪い国だっただろうか。

出先で出会う外国人観光客たちが、口々に日本を「美しい」「素晴らしい」と、日本人を「親切」「誠実」だと言ってくれるけど、私はいつもそれを素直に嬉しいと受け取ることができない。その、なんとも息苦しく残念なこと。


もっと質素に、生きられないのかしら。
贅沢をするなということではなくて、もっと、簡単に、道を一本、引けないものなのかしら。


日本人は他人に迷惑をかけるなという考えが強く、他国は他人を許せという考えが強い、という話を聞いたことがある。

 

ロボットみたい。日本は。
クローンみたい。日本人の脳みそは。

 

 

 

と、考えていたら心臓がザワザワし出して、不安になって読みかけの本を読み始めたら、物凄くホッとした。この人の言葉ひとつひとつ、考え方ひとつひとつに胸がじんわり温まる。いつか人間が滅んでロボットだらけの世界になったとしたって、人工知能だ驚異の能力だなんだ、それらが人間以上の力を持っていたって、絶対にこの人のような本は書けない。

 

コタツに入ってこれを書き始めた途端、眠たくて眠たくて、どうしよう眠ってしまおうか、いやまだ本を読みたいなぁ、と、至極平和な事を考えている。

 

流れ星よりも、沈んでいく夕陽に向かってお願い事をしたほうが、叶う気がする。

 


明日もどうか平和で豊かな日になりますように。