お酒の眠りに誘われて

 

 

外の冷気も電車の中で暖まりたいのか、窓の隙間から容赦無く入ってくる。

 

外は真っ暗で、時折街灯の下に雪が白く光るだけ、
二両しかない電車のボックス席に、ボストンバッグとお土産袋をぶん投げて、自販機から落ちた瞬間からぬるいカフェラテを飲んでいる。憎めない甘ったるさがなんとなく心地よい。

 

 

懐かしい駅を通り越す。
もう二度降りることはないんだろう。

 

 


偉大な人の偉大な言葉の、底の意味を考えていた。ずっとずっと追いかけているけれど、追いついたことは一度もない。ずっとずっと深くて、ずっとずっと遠い。

ニューヨークの、9.11メモリアルのことを思い出して、壁一面に貼られた様々な空の色、あの日あの場所にいた人たちの目に映った空の色、その時のそれぞれの感情が伝わってくるかのような悲しみの色、こんなにも違って見えるのかと驚き、少しの恐怖も抱いたあの日のことを思い出して、

 

結局は空を見上げて「青いな」と思うくらいの感覚でしか、他の恐怖や悲しみを汲み取る事はできないんだろう。それでも理解のできる人間になって、死ぬまでそのままでいられたらな、よいな、