概念

 

 

「外国には肩凝りという概念がないから、そこの人たちは肩凝りにならない」と、前に知人が言っていた。そうして「何にでも名前を付けるのはよくない。鬱病も名前が付いているから鬱になるのであって、名前が無ければその症状に気が付かないんだ」と、その言葉を聞いてホッとしたことを思い出した。彼はいつでもその時々の私に合う、深イイ話をしてくれた。

 

 


ただ今日言いたいのはそんな素敵な思い出のことではなくて、私自身にも肩凝りという概念が無かったということである。

 

ハタチ頃まで、私は肩凝りを知らなかった。というより自分が肩凝りをしていると思っていなかったの。もちろん肩凝りという言葉やその症状は知っていたけれど、自分には無関係だと思っていたし、肩が重かったり筋が痛むようなことは時々あったのだけれど、それはただの疲れだといつも思っていた。

 

しかしながらある日、同じ症状が起こりいつものようにマッサージをしていたら、その時一緒にいた母に「肩凝り?」と聞かれて、私は「いや、なんか肩が張る感じがして疲れるだけ〜」と答えたのだけれど、そしたら母が「それを肩凝りって言うんだよ」と言ったわけ。その時の驚きとこれを肩凝りだと知らなかったこの数年間を思った時の呆れ具合を、今でも覚えている。無知というより、単純にバカだった。

 

 


と、いうわけで今では肩凝りを知ってしまったので、たま〜にあ、肩凝りキタと思うことはあるけれど、やはり冒頭の彼の言葉を思い出して、なるほどな〜と、肩が凝る度に少し考えてしまう。

 

 

 

何でも知っていりゃあいいというものではないのかもしれない。