来世も現世も

 

 

私は生まれ変わったら、大樹になりたい。

奥の奥の森の奥の、人間が誰も立ち入れないような、厳かで、清らかで、穏やかな静けさに包まれた場所に、ひっそりと、しっかりと、立っている、大樹になりたい。

 

地震で八つ裂きにされることのないしつこい根と、嵐に吹き飛ばされることのない頑丈な幹を持ち、枝先には豊富な実を生らせ、夏には木陰となる葉を、冬には暖を取る蔵を、そして色んな動物に囲まれて、柔らかく、暮らしたい。

 

 

 

昔、眠れない時に聴く最初の曲は決まって、RADWIMPSの『25コ目の染色体』だった。

 

不安な時、勝負事の前、緊張している時、心を落ち着かせる為に聴くのもやっぱり、そうだった。

励ましの曲でも、アゲアゲの曲でも、なんでもないけれど、なんでかこれが一番落ち着いた。

 

 

今だにこれを聴くと、暗闇から薄明るくなっていく窓の外の景色を思い出す。夏はそれが早く、冬は毛布に包まりながら、ずっと、ボーッと空の色が変わっていくのを、見ていた。

 

 

 

この命の飼い主は自分だ、と思う。

勝ち負けではないけれど、でも、負けてたまるか、と、思う。