二十歳になる頃まで、秋はまるでつまらないものだった。大人たちがわざわざ紅葉を観に行くこと(というか景色を目的に旅行へ行くこと自体)の意味が全くわからなかったし、長期休みがないし、暑くもなければ寒くもなく、とにかくパッとしなかった。

 

それがここ最近急に、メキメキと秋の魅力に気付き始めて、もう虜というほど虜である。

幼い頃の私の目には、秋には色がなかった。強いて言えば茶色だったかもしれないけど、というか茶色一色だった気がする。なぜだか。

 

ところが大人になってみると、なんと多彩なこと。春も夏も色鮮やかだけれど、秋の、心の奥深くにまで入ってくるような、情緒ある色っていうの?(知らんがな)?春は見ていて可愛らしくてほっこりするような色、夏はパッと明るくてウキウキするような色、そして秋はしっとり、うっとり、しみじみしてしまう、溜め息の出るような、美しい色。(そして今や冬が無色)草花の色は勿論だけれど、空と空気の色や雰囲気がとても美しい。

 

柿の木、みかんの木、コスモス、名前は知らないけど赤いモフモフの、草…?、今日新たに見つけた紫色の綺麗な花、いつのまにか赤黄色に姿を変えた公園の芝、それぞれに紅葉した山、山、山、そして澄んだ空気と淡く透き通った空、吸い込まれてしまいそうな美しいピンクの夕焼け、はぁ…なんて素晴らしいのでしょう…。

 

 

自然の力の偉大さには常々平伏しているが、本当にその力は凄い。太陽がまさにそう。科学だか天文学だかなんだか知らないが太陽光ってエネルギーに代わるじゃない。太陽光で力を生み出して物を動かしたり(詳しくは全く知らないが)、それってよく考えると凄いことじゃない?超能力よりも凄いというか元祖超能力というか、なんかそんなかんじ。人間が草花や空を見て心を動かされ生きる原動力になったりする原理もよくわからないが、人間の感受性のおかげだけでなくやはり、自然の威力そのものの凄さにあると思う。

 

 

とにかく私は今、秋の素晴らしさに心底感動しているのである。そして、その度優しい人間になろうと何故か思う。

 

 

ということを日々しみじみと感じていたらいつのまにか枯葉、落葉、秋の終わり、諸行無常