私が両手を広げたら

 

 

虫の声と、時計の針の音と、私が動く音と。

 


私と小鳥と鈴と、みたいな表現になってしまったけれど、今この状況がとても心地よい。

 

静か、とても静か。
いつまでもこの雰囲気の中に居たい。

 


どこからか、薄っすらと風が吹いてきて、そういえば雷が何処かへ行ってしまったなぁと、あれだけ喚いておいて全くお前は、と思う。

 

 

 

愛想笑いをしている時、それが愛想笑いだと気が付く前にそうしている時、酷く恐ろしくなる。罪悪感のようなものが生まれて、自分の中で自分に裁かれるような気分になる。

 


自分と酷似している人を見つけると、落ち着く。自分のことを嫌っておきながら、その人に愛着を持って、どうかそのままずっと変わらないでおくれ、と思う。全く醜い。

 


死を知っている人は強い。
死ぬまで死ねないのは、良くもあって、悪くもある。


幸せになるのには、勇気が要る。

 

 

 

 

 

する事も無く時間に拘束されながら、そうして時間を殺しながら、罰せられてでもここを抜け出したほうがずっといいに決まっていることを頭ではわかっていながら、何も動かぬまま、色んな事を考えていた。